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航海記

牛窓(岡山)~臼杵(大分) 2009年9月18日〜

航海紀を書くのは、このWebサイトの主宰者 Tです。

2009/09/18 22:15 牛窓港出港

2009/09/19 17:30 臼杵湾内の漁港に到着

2009/09/18(金)

09:23 のぞみ118号で大阪へ移動、大阪港大正内港でひと仕事・・・ 軽く昼までに終わらせるつもりが、機器データの取得がうまくいかない;それ以外の動作は問題なし。 メーカーにデータの出力条件を問い合わせるも結論でず。 お昼に抜きで、15時までかかってしまった。 最寄駅までのタクシーの中で、出港までに用意しなきゃいけないことを色々考える。 やけに車が多くて、さっきの問題がモヤモヤ頭の中から消えない・・・ 新大阪で遅いお昼を買って車内で食べようと改札に向かって歩きながら携帯で予約しようとしたら先発の新幹線の指定席はすでに満席、仕方なく自由席のトイレ前の通路で弁当を食べる羽目になる。 なんかトホホな気分倍増だ;スッキリ仕事を片付けてクルージングに参加したかったのに、なんか消化不良なカンジ。 シルバーウィークの前日なのになんでこんなに混んでるんだろ? 岡山着いたあと、奥の車で散髪屋へ直行する、頭スッキリさせて気分もきりかえたい。

仕事が立て込んでいて、ろくに買い出しの準備もできていなかったが、奥の手伝いで昨夜のうちに近所のスーパーでざっくり買い出しをしていたものを車に積み20時頃に自宅を出発、航海に必要な情報は、来島海峡の潮流予測表だけ、あとは、出先からノートPCでなんとかする予定。

 

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2009年9月18日18:00の天気図

当初の予定では、串本~田辺方面へ出かける予定をしていたところ、台風の発生で断念することになる。 せっかく田辺でバースまで確保して頂いた IWさんには大変申し訳なかったのですが、無理をして逆に迷惑をかけてしまうようになってもいけないので、またの機会にしました。 

今回の臼杵行きは、台風発生の後すぐに決定となり、オーナーの承認済み。

参加メンバーは、Iオーナー、私 、Y師匠(釣りの師匠で、臼杵に実家)、SWさん(久しぶりに会う師匠の同僚)の4名、もう一人九州門司港へ帰省途中に片道参加予定だったSさんは、ちょっと予定が合いそうになく、今回はキャンセルになった。 残念;

 

 

20:30 岡山県瀬戸内市 牛窓のホームポートにある草木造船へ到着。 

FEAST2は、当日までドックしていて、すでに造船所前の桟橋に係留されている。 当日の午後、Iオーナーが陸電と冷蔵庫の予冷を済ませてくれていたので、生鮮品を冷蔵庫、冷凍庫に分けて収納します。 このヨットの元々付いていた冷蔵庫のコンプレッサーは、とっくの昔に寿命となっていた。それをオーナーが自分で中古の冷蔵庫のコンプレッサーに銅管に海水を循環させる熱交換器を取り付け、電動ポンプでくみ上げた海水を使って冷媒を循環させています。 冷蔵庫と冷凍庫で1台のコンプレッサーを共用しているので、まず最初に冷やしたい方のサーモスタットを全開にします。 後からでいい方を緩くしておきます。 そうすると、全開に設定された方へ冷媒が循環し冷やし始める仕組みになっています。 完全DIYで既設の冷蔵庫を完全に復活させています。 ただ、最初の勢いが緩く、冷え出すとなかなか緩められないので、使い始めのころは、一番で冷蔵庫の野菜が全部凍ってしまったこともあったけど、だんだん手加減がわかって今回も、冷凍庫がカチカチになりかけていて、冷蔵庫はほぼ常温でした。 で、冷凍庫のサーモスタットをゆっくりと緩めます、昔ながらのバイメタル式のサーモスタットなので、ダイヤルを回していくとカチッと音がして動作、非動作がわかります。 冷蔵庫の方へ冷媒が切り替わると徐々に冷たくなってきます。 飲み物、生鮮品、氷、4日分の食糧の夜を除いたものを搭載します。

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主な機材:ヨット FEAST2 ガルフスター50ft
JRC JMA-5100(+MARPA)レーダー(左)と、アルファマップPro(右)にSARCOM UAISヘミスフィア GPSコンパスレイマリンST-4000+オートパイロット+型式不明風向風速計、FURUNO GPSプロッター(主に測深機として使用)、電源ソース 軸発電DC24V→AC110V 4KWインバーター、発電機 6KW*1

今回夜間航行は、初日だけなのでOA用の明るい液晶モニターにアクリルパネルをテープで止めてなんとかしのぐことにします。  

 

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21:00 Iオーナー到着

荷物を積み込み、出港前の点検を行う。 21:15 舫いを解いて出港です。 慎重に造船所の桟橋を離れ、後進のまま回頭。

天候:晴れ 風:穏やか

今回の航程で、来島海峡の潮流が基準となってしまう。 大潮のため、とても逆潮では通峡できない。 転流が翌朝6時頃なので、なんとしてでもその時間帯には来島海峡東口に着かねば・・・ 計画速力 7.6ノットでなんとか21時出港が限界です。もうすでに15分遅れ・・・

 

 

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オートパイロットを自動→トラックにセットする。

仕事の都合で出港時刻に間に合わない、Y師匠とSWさんを岡山県玉野市宇野港でピックアップするためにまずは、宇野港へ

 

 

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普段、宇野港に入ることはまずない。 理由は、用が無い、プレジャーボートが利用できる施設もない、宇高航路のフェリーの出入りが頻繁などで、実は近所なのに一度も入れたことがないのです。 師匠たちから宇野港東側の小型旅客船乗り場が空いているとのメールが入ります。 いくら、地元でも入ったことの無い港へ夜間入港するのは、神経を使います。 宇野港沖は、本州側を東西を航行する内航船が意外と多く500トン以下なので、AISの搭載もほとんどありません。 そんな時に、役立つのがARPA機能のあるレーダーです。 左画面の自船近くの○に/シンボルは、レーダーに映っているエコーをカーソルで押さえると、その位置を抽出してレーダー画面と外部機器へもデータを出力してくれるのです。 チャート画面上には、レーダーで捉えたエコーの位置と速度、コース方位を表示してくれます。

 

 

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こちらはAISを搭載している船です。 このように、船名をはじめ詳細な情報を得ることができますが、レーダーと違って実像ではないので、相手のAIS情報が100%正しい情報とは限りません。 まぁ普通は基本情報には、ほぼ間違いありませんが・・ FEAST2には、搭載義務船が搭載するのと同じスペックのクラスA AISを搭載しているので、周辺他船や海上交通センターにも自船情報を放送しています。

 

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22:59 宇野港着桟 

この電子海図は、更新をしていないので、桟橋が1つしか見えず実際に着桟した桟橋がありませんが、横の桟橋と同じ桟橋が並んであります。

 

 

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師匠とSWさんを乗せてすぐに出発です。

 

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宇野港を23:00頃に出港、一路備讃北航路を目指します。

 

 

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1隻の貨物船(SHIN HOSHU MARU)が、備讃航路東行レーンから外れてFEAST2の針路方向へ北上してきます。 AIS情報では、行き先は、HIBI(日比)とあります。このままの速力と針路を双方が保てば赤色のXのところで衝突する可能性を表示しています。 こちらの舷灯は、両色灯が船首の海面から1.2mほどのところに、マスト灯は15mのメインマストのトップに付いています。 商船側から見るとマスト灯がフラフラと揺れる変な物に見えてもおかしくありません。 

距離約3マイル(約6km)すでにこの時点で、数分後に危険な位置関係にあることが確認できています。 しばらく。注意してこのままお互いの針路、速力に変化が無ければ、積極的な回避操作に入ります。

○国際VHF無線 16CHにて

○SHIN HOSHU MARUこちらは、プレジャーヨット フィースト2感度ありましたら応答願います。
■こちらSHIN HOSHU MARUですどうぞ!
○SHIN HOSHU MARU チャンネル06お願いします。 
■CH06了解! 

位置関係は、FEAST2が針路速度維持、SHIN HOSHU MARUが変針しなくてはいけない. しかし、こちらは簡単に針路を変更できる状態にあるので、先にこちらがSHIN HOSHU MARUの針路を妨げないように逃げたい。 事前の確認なしにそのような動きを相手に見せると余計に混乱させてしまうことがあります。

※通話の中に「感度ありましたら・・・・」のくだりがありますが、一般的には感度ありますか? はちょっと使い方が変なのです。しかしVHFでは、頻繁に使われている言い回しで、聞こえますか? の意味です。

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○SHIN HOSHU MARU こちらは、フィースト2 貴船前方約1マイルのヨットです。 こちらが貴船トモをかわします。 どうぞ!

■フィースト2こちらは、SHIN HOSHU MARU 本船進路変更しますので、コース速力維持してください。 
○フィースト2 了解 進路、速力維持します。 ありがとうございました。 16バックします。 
■はい了解です。
○さようなら

左舷対左舷でかわします。

ヨットなどの小型船は、商船側から見づらく動きがつかみにくいものです。VHFがあれば、呼びかけてお互いの意思疎通をはかることができるのですが、VHFで呼ぶにしても船名がわからないと呼びにくいです。 AIS情報があれば、船名で呼び出せるので、大変スムーズにやりとりができます。

 

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2009/09/20 0:28 与島鍋島灯台前より 備讃北航路へ入る。

備讃マーチスからの情報では、漁船の操業情報はなく西行船が多いので注意するようにとのこと。 FEAST2はAISを装備しているので、マーチスのレーダーにもAISターゲットとして行き先や船名も表示されている。 何か差し迫った情報があれば、いつでもマーチス側から呼んでもらえるのだ。 

私は、ここで先にお休みします。 夜更かしが弱いので、先にワッチオフして早朝また復活予定。

 

機走中のヨットでは、なかなか熟睡とはいかずウトウト時々寝たような寝ていないような・・・ 年に何回かしか夜通し走るようなことは無いので、仕方ない。

04:00頃? デッキに上がり、キャプテンとSWさんがワッチオフ、船は備後灘を航路筋に沿って西行中。  

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少しずつ東の空が明るくなり、夜明け

来島マーチスのVHF通話がだんだんと増え始める。

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南流、2ノット、増速傾向・・・・の電光表示です。 

国際VHFにて来島マーチスとコンタクト

●来島マーチス こちらは FEAST2 どうぞ
□FEAST2 来島マーチスチャンネル14お願いします。
●FEAST2 チャネル14了解
□FEAST2 こちらは、来島マーチス どうぞ
●こちらは、FEAST2 潮流情報お願いします。
□了解 現在南流れ2ノット増速傾向です。 西水道へまわってください。
●了解しました。 西水道へ入ります。 16バックします。
□了解 気をつけて通峡してください。 さようなら

どうやら転流は、05:30頃だったらしい・・・ 途中潮流も逆で行き足も伸びず、西水道初体験です。

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中水道から、次々に順潮で通峡してくる船が出てきます。

逆潮の船は、ここから左側通行です。 海峡中央の馬島の西側(四国側)を通らなくてはいけません。

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先行する商船も西水道へ向かっています。 

 

小型船は、航路の通航義務はありませんので、途中でショートカットします。

 

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●来島マーチス こちらは FEAST2 どうぞ
□FEAST2 来島マーチスチャンネル14お願いします。
●FEAST2 チャネル14 了解
□FEAST2 こちらは、来島マーチス どうぞ
●こちらは、FEAST2 来島ノ瀬戸方向へショートカットします。 
□了解 通報ありがとうございます。
●16バックします。
□了解 さようなら

早いとここの逆潮潮流圏から逃げ出したいんですが、お昼前までずっとマイナスです。

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来島海峡を07時前に抜けてから、風もなくひたすら松山沖を目指すも、大潮で潮流もそこそこあります。 早めに朝食の準備に取りかかる。 今朝は和食、ごはんと味噌汁、塩鮭、目玉焼き、漬けものにします。 鮭をオーブンで焼いて、豆腐の味噌汁を準備して粗方準備ができたころから、嫌な波が続くようになる。 ちょっとデッキに様子を見に上がってみると周りは白波がたって1.5mくらいの波長の短い向い波になっています。 再びギャレーに戻ると卵パックが床に・・・・・ 卵4個くらいダメにしてしまう。 朝ごはんは、少しおあずけです。

四国側にはりついて、最短で松山沖にコースを取ります。

 

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9:45頃 松山港を抜けたところで、風向きがほぼ180度変わり、追ってになる。 今のうちにと冷めた塩鮭と目玉焼きで遅めの朝食を交代でとります。 松山港の向こうに見える煙突の煙が、このあと10分くらいのうちに真逆になります。 松山空港へ離発着する飛行機もさっきまでとは反対方向になる。

 

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伊予灘で、船尾から流していた疑似餌に獲物が!

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長い長い40NMを約6時間かけてようやく、佐多岬です。 途中から潮も変わって、追い風もプラスで平均9.5ktで午前中の遅れを取り戻しました。 でもぼちぼちまた逆潮になります。 

ここでもAISで行きあう船の動静を詳細に確認することができます。 逆潮で行き足が5~6ktなので、無理な横切りは避けます。 SAKURAは、VHFでトモをかわす旨連絡、NEW HOYOは応答なし、南から来る外航船 KEOYOUNG SEVENは、余裕がありそうなので、前を通りますが一応VHFでその旨通報します。台風の影響で豊後水道には、4m近い外洋性のうねりがあり結構近くの船も波間に完全に隠れてわかりづらい状況です。

 

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佐多岬の前には、浅場がありそこに南からのうねりがぶつかり恐ろしげな光景が広がっています。 

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最後のWPを通過します。

コースラインの左右にある◆マークは、パイロットさんが本船とミートするポイントです。VHFでは、せきざきいんらんどしーぱいろっとが頻繁に本船とやりとりしています。 AISターゲット CTIRUSもパイロットをピックアップして瀬戸内に向かうところです。

 

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出港から約20時間ようやく目的地が目前です。

ひさしぶりに見たおっぱい島

 

2009/09/19 17:30 臼杵湾内のとある漁港に無事着桟しました。 今夜は、ふぐ宴会だぁ! 明日の出港予定は、08時頃 とっとと事前に配達をお願いしていた軽油ドラム缶1本を給油します。 出る時に満タンでしたが、結局1本では少し足らない感じで、往路220Lほど使ったようです。 ヨットといってもいつも風が使えるわけでもなく、エンジンパワーも重要な性能の一つです。 ほぼ10L/時間 計画通りの消費量でした。

Y師匠のお兄さん(かなりかっこいい海の男って感じ)の車で臼杵市内へ移動、スーパー銭湯でカピカピに塩を吹いた身体を洗い流します。 

19:00 市内のとある料亭へ 本日は、1名 1.5万円~のコースです。 お店の詳細情報は都合により書けません。

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ちょっとお店が良すぎです。 まぁとにかくあちこちすごくってお店が特定できないようにするとモザイクだらけになります。

ここには、まだフグは出ていません。

どれも上品な味付けときれいな盛り付け、器も感じいいです。

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造りです。

肝なし!

ではありません。 こちらのお店では、肝は別の器で出てきますが、写真NG

器をポン酢に入れて溶かします。 全部溶かしちゃもったいない! 少し崩す程度にして身に絡めて頂きます。 夏ふぐの肝は、冬場よりもアッサリしていますが、なんともウマいです。

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こちらY師匠のお兄さんが獲った豊後水道のアジです。 タダのアジじゃありません。たくさんとれるアジの中に、体格や体型がまったく違うものが入るそうで、おろせば包丁に脂がまとわり付くほどのメタボアジ。

このアジが、なんとフグコースの場外乱闘になるほどのウマさ! とろーりとした食感で甘みあって、今まで食べたことがないアジです。 1年でも今のシーズンだけ獲れるらしく、とにかく感動的な味でした。

美人二人とデートしとるようぢゃ。 どっちを喰えばいいんじゃぁ~~ などと誰かが言ってました。 

当然どっちも喰ってましたが・・・

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まだ鍋のシーズンではありませんが、十分おいしく頂きました。

コース全体の内容は、上記の料理(アジを除く)の他に、照り焼き、から揚げ、寿司、、雑炊、フルーツが付いています。 どれも間違いなし!

臼杵に行くことが決まったら、最低でも前日に予約しましょう! このためだけに出掛けても絶対に損しません。

21時過ぎに代行タクシーで、港に戻る。 北よりの風で、若干岸壁に押しつけられ気味ながらも皆即爆睡です。 明日の出港は、8時


後半へ続く

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